禁煙外来

『女性と喫煙』

社会福祉法人優和福祉会
理事長 加藤 武男 先生  精神科医師

最近女性の喫煙が増加しています。そこで、喫煙におけるニコチンなどの悪影響についてデータを示しながら、述べさせてもらいます。タバコはおそらく妊婦の間で最も一般的な「薬物」でしょう。

多くの妊婦が喫煙をやめない。ニコチンは血管を収縮させ、子宮や胎盤への血の巡りを悪くする上に、胎児を一酸化炭素にさらし、心 拍数や呼吸数の減少を引き起こします。 この結果、未熟児や低体重児が生まれる危険性がきわめて高くなります。自然流産の確率もタバコを吸わない母親に比べ1.7倍、認知異常では2.3倍も高くなります。

研究によれば、妊娠中に喫煙していた母親の子供が精神遅滞になる確率は喫煙していない母親の子供の 1.5倍であり、喫煙量が増 すほどその可能性は大きくなります。なかでも子供の注意障害(ADD)の罹患率は3倍に跳ね上がり、脳の発達に多大な影響をもたらすとされる低体重児の割 合も増大します。

乳児突然死症候群も、喫煙していた妊婦の子供によく見られます。胎盤を通して血中物質を受け取っている胎児には、母親の喫煙習慣が大きく響きます。研究でも、胎児に届くニコチンは母親の血中濃度の何倍にも濃縮されているといいます。

胎児の脳の発達へのニコチンの影響については、ニューロンの正常な移動や結合を狂わせ細胞死のバランスを崩すという説が有力です。

一方、ニコチンはドーパミン系をむしばみ、脳の発達への調整作用を損なうことが実証されています。